2021年12月13日

都筑緑道ランニングの愉しみ by 北島政明さん

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[茅ケ崎公園の楓]

都筑緑道は、横浜市郊外に広がる壮大な都市型緑道です。主要コースだけでも約15km、縦横に伸びた枝道までを丹念に辿ると優に20kmを超えます。初めて訪れたとき、あまりの広さと複雑さに私は緑道の中で迷子になって茫然としたほどです。春は桜、秋は紅葉。どうしても走って訪れたくなる私のお勧めコースです。

(末尾に、マップがあります。)

散在する大小多数の緑地公園を数珠つなぎに結んで縦横に広がる緑道群は、緩やかな起伏と蛇行をもって設けられているため、走り進むにつれて刻々と光景が変化します。富士山を展望できる小山あり、水鳥が泳ぐ池あり。「せきれいのみち」、「ささぶねのみち」、「ゆうばえのみち」などと名付けられた緑道の脇には、細やかな水の流れが作られていて桜や紅葉が映り込むのです。緑道のすぐ裏手には高層マンションがあるのですが、豊かな緑と起伏によって建物の姿は巧みに隠され、緑道を走っていると自分が実は街中にいるということを忘れてしまいそうです。

都筑緑道ができてから30年ほどだそうです。私も、ここに走りに行くようになってもう9年が経ちました。いつ訪れても、ここには穏やかな時間が流れていて、歩き走る人々の表情を笑顔にしてくれます。


私は、県立川和高校ちかくにある見花山かりん公園から緑道に入るのが通例です。緑道の起点はさらに南方の加賀原バス停わきのぎんなん公園にあり、ここまでピストンすることもあります。かりん公園近くには川和富士公園という小高い丘のある公園があり、らせん状に登ると富士山や運が良ければ南アルプスの峰までの遠望が得られます。

ピストンを終えたらいよいよ本コース。鴨池公園にはこどもたちが自由に遊べるログハウス「かもいけランド」があり、そのすぐ先は都筑中央公園へ至る道とささぶねのみちに分かれる三叉路になっています。ここの紅葉が道の端を流れる水路に映り込む様子にはいつ来ても魅了されるのです。

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[道端の細流に太陽光を浴びて明るい紅葉が映り込む。ちょうど映り込む場所と角度。そこから見える水面の景色はちょっと幻想的だ。]

まずは左手の道へ進んで都筑中央公園へ足を進めます。小道はなだらかな下りとなって水路に落ちた楓が光を浴びて妖しく光ります。

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[三叉路から都筑中央公園へ至る水路で]

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[都筑中央公園に至るアプローチ。道も水路も一面の落ち葉。]

都筑中央公園は小高い丘になっています。頂上にある円形のオブジェはこどもたちやカップルに人気のお弁当スポット。日当たりがよくてのんびりします。市営地下鉄のセンター南駅がすぐ近くで近代的なビル群も見えますが、ここは別世界です。

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[都筑中央公園のオブジェ。写真の背面にセンター南駅がある。]

三叉路まで戻って、ささぶねのみちに入ります。両側から覆いかぶさるほど樹木の豊かな未舗装路。ゆるやかなアップダウンがあり、右に左に緑の中を蛇行しながら走る心地よいエリアです。ここを毎日のように走り歩くことのできる人々は幸せです。

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[ささぶねのみち]

新たな景色が次々に現れます。落ち葉で埋め尽くされた谷があったかと思えば、細かった流れが池となり、そこには鴨たちが浮かんでいます。水鳥は、自分たちがどのような光の衣をまとって浮かんでいるのか意識しないのでしょうか。

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草地の広がる場所に出たら、そこは茅ケ崎公園。ここもおべんとうを広げるにはもってこい。なだらかな草地を駆け下りて、最寄りの茅ケ崎小学校のすぐ脇に、冒頭に掲げた赤と黄色のコントラストが印象的な楓があります。ここは地形的に陽の当たる時間帯が限られていて、今年は間に合わなかったのですが、紅葉の盛りの陽の光を浴びた姿は都筑緑道の中で一番の光景だと思っています。幸運に恵まれた数年前に撮影した写真です。

そのすぐ先から枝道「せきれいのみち」が分かれています。静かな住宅に隣接して小気味良い細道が続くお気に入りの場所です。ただ、道端の細流に惹かれてこの枝道まで辿っていると、緑道の中だけで20kmを超すロングランになってしまいます。残念ながらカットすることも多い「せきれいのみち」なのです。

メインルートに戻り、やがて、せせらぎ公園。近くに地下鉄仲町台駅もあって、アプローチが良く散策する人の多い公園です。大きな池があり、春に湖面が桜の花びらで覆いつくされたことがありました。そんなチャンスの再来を願って春にも走り行くのですが、わずかなそのタイミングにはその後なかなか恵まれません。

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[せせらぎ公園直前のトンネル越しに見た紅葉]

せせらぎ公園を通過して小道をどんどん走ります。アップダウンはますます多くなって、最後に長い下りを終えるとかなりあ公園。ここで緑道の南コースは終点です。地下鉄の東山田駅もありますから、南コースで切り上げるにも便利でしょう。

一旦、緑道の外に出て1kmほどで、北コースの入り口「のちめ不動」です。すぐ横にコンビニもあって、私はここで補給することが多いのです。北コースは南コースよりも簡素な造りですが、細い流れとともに緑豊かなエリアを走ります。風が穏やかな日なら、水面に映った逆さ紅葉も印象的です。

山田富士公園は川和富士同様の小高い丘で、疲れてきた脚には少々登り甲斐のある場所です。そして、徳生公園に至るとたくさんの水鳥が迎えてくれます。こちらが餌を持っていそうだと思うと一斉に私に向かって泳ぎ来るキンクロハジロたち懸命な姿はユーモラスでもあります。

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[水面に写り込んだ逆さ紅葉]

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[北コースを走る]

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[徳生公園のキンクロハジロ]

徳生公園を過ぎると道は一転して緩く長い上り。登りきったところが地下鉄中川駅で北コースの終点です。私はここから自宅へと帰ってゆくことが多いのですが、中川駅少し手前から南下して山崎公園のプチトレイルを走り、都筑中央公園に戻るルートもあります。都筑緑道は、南コースと北コースが大きな円をなした環状緑道でもあるのです。

実は街なかにある都筑緑道。普通に地図を見ただけではそこに豊かな緑道があることになど気が付きませんが、一歩足を踏み入れてみると、一度では探索しきれない嬉しい迷路が迎えてくれます。

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[都筑緑道マップ 横浜市都筑区の下記サイトから引用して一部改変。青色破線は当方で追加したコース。]